じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

先生の表情が暗い

2019-06-27 08:54:55 | Weblog
★ 中学校は期末テストの真っ最中。今朝も早くから何人か生徒が来て自習をしていった。

★ ところで、学級の集合写真ができたらしく、昨日も学校帰りに何人かの生徒が持ってきた。中学2年生に写真を見せてもらった。

★ 13歳から14歳にかけて、いわゆる思春期で難しい世代だ。成長の個人差が顕著で例えば背の高さにも大きなばらつきがある。身長のように心の発達にも個人差があるのだろうなと思う。

★ 写真を見ていて気になったことが2点ある。

★ 1つは不登校の生徒の数だ。今は1学級40名足らずだが、どのクラスにも2人から3人の不登校の生徒がいる。卒業アルバムでよくあるように右上の小窓にその写真が載っている。「教育機会確保法」ができて、無理をして学校に行かなくてもいいですよということになったが、数の多さが気にかかる。それぞれに事情があるのだろうが、学級あるいは学校の雰囲気に何か原因があるのかも知れない。

★ 2つ目は先生の表情だ。中に表情の暗い先生がいる。たまたまなのか(あるいは写真写りか)とも思うが、そのクラスの生徒の話を聞くとどうも学級が楽しくないようだ。先生方にもそれぞれ事情があるのだろうが、カラ元気でも太陽のように明るくあって欲しいなぁと思った。また、こうした先生の状態を校長をはじめとする管理職は的確に把握してフォローしてほしいなぁと思った。

★ 学級の雰囲気はちょっとしたところにも表れるものだ。
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白石一郎「金印」

2019-06-27 01:22:25 | Weblog
★ 27日、28日は中学校の期末テスト。次から次と訪れる生徒の合間を縫って、白石一郎さんの「孤島物語」(新潮文庫)から「金印」を読んだ。

★ 歴史の教科書には必ずと言ってよいほど載っている金印。「後漢書」東夷伝に「建武中元2年に倭の奴国が後漢に朝貢したので、光武帝は印綬をおくった」と記された金印である。

★ 今の福岡県・志賀島の百姓、甚兵衛が自分の田んぼから見つけたとされる。1辺2,5センチメートル足らずのこの金塊が、どのようにして甚兵衛の田んぼに行き着き、そして偶然発見されるに至ったのか。それは実に謎めいている。

★ この作品でもその点は謎のままだ。発見された金印がどのようにして公の知る所となったのか、そのいきさつに作家のイマジネーションが注がれている。

★ 金塊とは言えこのような小さなものが出土され、そして金塊であるがゆえに闇に消えそうなものが国の宝として残存したのは、まさに奇跡と言える。
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年金だけではムリ

2019-06-25 11:45:05 | Weblog
★ 老後資金2000万円赤字問題。金融庁としては証券業界に忖度したつもりが、年金だけではやりくりできないという不都合な真実が暴露されてしまった。

★ 年金収入が月21万円、必要な支出が月26万円。その差額が月5万円で、年間60万円、65歳から95歳まで30年とすれば1800万円の赤字。実に単純な算数だ。的確な試算だと思う。

★ ただ月21万円の年金収入がある人では不足分が1800万円でおさまるが、国民年金7万円足らずの人、あるいは無年金の人ではその不足額は膨大な額になる。

★ 単純に月26万円必要なら、年間312万円、30年なら9360万にもなる。よほどの貯えがある人でないとこの金額は賄えない。結局、生活保護を受け、生活水準を落として生きなければならない。豊かな老後には程遠い。

★ 中福祉、中負担と誰かが言ったが、これからは低福祉、高負担を強いられる。自己責任、自己努力。ありとキリギリスの話ではないが、自己努力も必要だ。しかしそれには限界もあり、社会体制上の問題もあるのではないか。

★ 意見はそれぞれの立場(階級)によって分かれるだろう。「弱者は長生きせずにそこそこで死んじまえ」と本音を言うならまだしも、「豊かで健康な社会」などときれいな言葉を並べるのは何か胡散臭い。

★ 憲法論議の前に、これからの国民生活をどう考えるか(新自由主義で割り切るのか、社会主義化するのか、先送りとパッチワークで何とか今を凌ぐのか)、それが議論されなければならないと思うのだが。

★ 結局は戦乱のような大惨事が起こって、みんなが「仕方がない」というあきらめることになるのか。不安ばかりが募る。
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金相場高騰

2019-06-25 11:04:00 | Weblog
★ 金相場は天井知らずで高騰を続けている。円高も進行しているし、これは不穏な動きだ。日本国債の長期金利も下がっている。

★ より安全な資産をめざして資金が動いているようだ。

★ ということは通貨不安が広がっているということか。

★ 市場はアメリカのイラン攻撃が近いとみているのか。

★ 会期末国会は参議院選前のアピール合戦に終わっている。それはそれでロスの多い民主主義というシステムには必要なことなのだろうが、傍目には無駄なエネルギーの浪費とも思える。

★ そんなことより、消費税増税どころではない大パニックが待ち構えているような不安を覚える。まずは原油だ。「油断」にならないことを祈りたいものだ。
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三木卓「砲撃のあとで」

2019-06-24 20:41:46 | Weblog
★ 三木卓さんの「砲撃のあとで」(集英社文庫)から表題作を読んだ。

★ 終戦前後の満州の街だろう。それぞれの軍、あるいは武装勢力が入り乱れて戦乱が続く街。兵士が通りすぎるたびに建物は崩壊し、街は荒廃していく。

★ 砲撃のあとで、略奪のために破壊された「外務省」に侵入した少年の目を通して、その惨状を描いている。

★ 「この都市には、さまざまな国籍の人間がいるが、ひとたび都市が混乱に陥るや、どの国籍の人間も、立場のいかんを問わず略奪に走るのだ」(100頁)

★ 道徳や倫理などと言ったものはもはや通用しない。赤裸々な人間の本性、野生化した人間を見るようだ。極限の中で生きる人間の姿を見るようだ。

★ 緊迫した戦場の様子が語られた後で、終盤のある男女との出会い(目撃)から雰囲気が変わったように感じた。極限状態にあっても少年の好奇心はいよいよ衰えることを知らない。生死が隣り合わせの状況だからこそ、生(性)への渇望がより高まっているようだ。
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藤堂志津子「秋の猫」

2019-06-23 23:18:45 | Weblog
★ 藤堂志津子さんの「秋の猫」(集英社文庫)から表題作を読んだ。

★ 壮絶な夫婦喧嘩らは物語は始まる。いやまだ結婚していないから夫婦喧嘩とは言えないかもしれない。早智子は30歳で結婚をあきらめたが、33歳でこの男と出会い3年間付き合ってきた。結婚を目指してきたが、この男は浮気を繰り返したのだ。1回目は、何とか許せた。しかし2回目となると最早堪忍袋の緒が切れた。

★ 男と別れた早智子は猫を飼うことにした。1匹のつもりが2匹も飼うことになった。ロロとミミと名付けた。早智子と猫との生活が始まった。

★ 私は犬好きだが、猫好きにはたまらない作品だろう。
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三木卓「鶸」

2019-06-23 22:10:55 | Weblog
★ 三木卓さんの「砲撃のあとで」(集英社文庫)から「鶸(ひわ)」を読んだ。

★ 1973年上半期の芥川賞受賞作だが、書かれている時代は1945年、終戦前後の北満州だろう。具体的な記述があるわけではないが、酷寒の中で、そして法秩序、貨幣秩序の崩壊した極限状態の中でなんとか生き伸びている人々の姿が少年の視線で描かれている。

★ 少年は煙草を売って日銭を稼いでいたが、自動小銃をもった少年兵の略奪に合う場面から物語が始まる。不法な行為に遭っても歯向かうこともできない。もはや法の支配が存在しないことを冒頭で物語っている。

★ 兄からの知らせを受ける。父親が帰還したという。しかし父親は発疹チフスを患い高熱で死地を彷徨っていた。旅立つ前と帰還したときの父の変わりよう。それは現地における日本人を取り巻く環境の激変を象徴するようだ。兄と少年は当座のカネを稼ぐために家財を売りに行く。しかしそこで遭遇する現地の人々の半ば略奪のような買い取り。しかも支払われた軍票は近々ゴミ屑同然になるという。

★ 「鶸」とは字の通りスズメのような弱弱しい小鳥のようだ。少年は飼っていたこの小さな命を自らの手で葬る。少年はこの小さな命を人手に渡すことが許せなかったのだ。
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西加奈子「あおい」

2019-06-23 17:51:27 | Weblog
★ 西加奈子さんのデビュー作「あおい」(小学館文庫)を読んだ。

★ 27歳の女性が主人公、もともと2つ上の同僚の雪ちゃんが好きだったカザマ君と同棲をはじめ4か月になる。雪ちゃんからは断絶されてしまった。バイト先のスナックでの話や学生の頃レイプされた話。そして、カザマ君の子どもを宿した話などが、あっちへ飛びこっちへ飛びながら進められていく。

★ 随分と粗削りな構成だとも思うが、主人公とともに浮遊するのも悪くない。

★ なぜ題が「あおい」なのかと思ったが、そう言うことだったんだね。(興味のある方はご一読あれ)
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原民喜「美しき死に岸に」

2019-06-22 17:48:08 | Weblog
★ 原民喜さんの「夏の花・心願の国」(新潮文庫)から「美しき死に岸に」を読んだ。

★ 愛する妻の臨終を看取る話だった。辛い話だが作者の筆は冷静だ。作品の中で妻に永遠の命を与えているようだ。

★ 前半は詩的な描写が流れていく。妻が大学病院から退院し自宅療養するところから物語が動き出す。

★ 弱っていく妻の姿。食事の細さがそれを物語る。やがて何も受け付けなくなり、腹にそして胸に苦痛を訴えるようになる。危篤に陥り、深い昏睡の中でうめき声しか聞こえなくなる。そして最期の時が訪れる。


★ 死を目前にした家族にとって夜は苦痛だ。早く夜が明けないかと祈らざるをえない。朝が来ると、仕事に行く人、学校へ行く子どもたち、町はいつもながらの音を響かせる。そんな朝、帰らぬ人を抱えた家族は日常とは違った数日を過ごすことになる。私も母が亡くなった時に感じたことだ。

★ 原民喜さんといえば原爆体験を綴った「夏の花」が有名だが、文章表現が実に美しい。原さんは45歳で自ら命を絶つ。その深い理由は本人しかわからないのであろうが、妻を失った孤独感が深かったのではないかと慮られる。
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青山七恵「街の灯」

2019-06-22 12:27:24 | Weblog
★ 青山七恵さんの「街の灯」(河出文庫)を読んだ。

★ 1人称の物語。ちょっとした行動の中にもさまざまな想いが込められているんだなぁと思った。

★ 「私」は大学を辞めて、近くの喫茶店で毎日時間をつぶしていた。ある日、つい居眠りしてしまった私に、喫茶店のミカド姉さんが声をかけてくれた。「うちで働かない?」「部屋も一つ空いてるの、この上なんだけれど、住んでもらっていいのよ」(51頁)

★ 私は姉さんの「申し出」を受けることにした。

★ 私の部屋の向かいのアパート。その空き部屋に人が入った。その灯りを見ながら空想に浸る。夜の散歩も私の趣味だ。街を散策しながらそこに住む人々を観察する。

★ お姉さんは男出入りが絶えない。そんなお姉さんには「先生」と呼ぶ特別な人がいる。私は「先生」に興味を持つが、お姉さんと「先生」の間に入り込む余地はない。

★ 人目から見ると「かわった子」で済ませられる「私」。大人になりきれない焦燥なのだろうか。それとも生きることへの渇望なのだろうか。美醜合わせてそれらはみずみずしくもある。本人にとっては苦しいところだろうが。

★ 時々輝くような表現があり、楽しい。(学生時代の作というがすごい)
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