宮本輝「草原の椅子」
パキスタンのフンザで、老人から「あなたの瞳には3つの青い星がある」と言われた主人公。
その謎めいた言葉から物語は始まりますが、
それとつり合いがとれるほど、物語の中でその意味ある言葉は膨らんでこなかったという印象が残りました…。
あ、でもおもしろかったですよ。
ちゃんとその言葉は物語の中に反映されてますよー。
ワタシと波長が合っていると思っている作家なので、
主人公たちの言葉に頷き、その意味をしみじみと思い巡らして読み進んでいくこともできました。
「魔が差す」という言葉。
あらゆる物事の方向は”魔が差して”決まっていく、進んでいくというのは、本当だなぁと思いました。
「正しいやり方をくり返しなさい」という言葉。
これは本当にその通りだと思います。
他にも考えさせられる言葉が、あちらこちらにちりばめられています。
しかし、
これが言いたい― この言葉を伝えたい―
それがたくさんあって、そのためにムリヤリ(…というのは言いすぎですが)、物語をねじ込んだ感じがしないでもありませんが。
主人公たちは、たぶんいい人たちなんだけど、
そんなにお互いを褒め合わなくてもいいし、
一般の日本人や日本を、そんなにも否定しなくてもなー^^;とも思いました。
解説はよかったですねぇ。
ウン、解説らしい解説。
ここしばらく、解説を読んでガッカリすることが多かったし(ファンレターかッ!最後まで読めん)、
本の内容はおもしろいのに、解説であまりにも頭にくることが書かれていて、ゴミ箱に直行したというかわいそうな本もありました。
(解説の話、つづく)