はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

オーケストラとともに

2009-12-01 20:00:39 | アカショウビンのつぶやき


 11/29(日) 鹿屋市文化会館で、大隅半島唯一のオーケストラ「かのやオーケストラ」の定期演奏会で歌ってきましたあ(*^_^*)。

 かのや第九合唱団のデビューです。
曲は「ふるさとの四季メドレー」に「威風堂々」の2曲。団員約150名の大合唱、オケの伴奏で歌うのは最高でした。
聴いてくださった方々の中には「涙が出た」とおっしゃる方もありました。

   うさぎ追いし かの山
   こぶなつりし かの川
   夢は今も めぐりて
   忘れがたき ふるさと

 練習中「あなたの懐かしいふるさとを思い浮かべながら歌いなさい!」と何回も注意されましたが、少しはその思いが伝えられたのでしょうか。

 かのや第九合唱団の本番は来年12月5日、ベートーヴェンの第九を歌います。年が明けると早速、練習スタートです。この歳で果たしてドイツ語で歌えるのか自信はないのですが…。
 新しい年も、元気に楽しく歌えますように、その思いだけで頑張ります。

第1回「ペンクラブ賞」発表

2009-12-01 18:34:53 | アカショウビンのつぶやき
 毎日新聞の投稿欄では、人気ナンバーワンの「はがき随筆」投稿者の集い「毎日ペンクラブ鹿児島」の研修会が11月29日鹿児島市で開催された。
今回は平山支局長の文章講座に引き続き、長年の懸案事項であり、やっと新設された「はがき随筆」ペンクラブ賞の発表があった。
 実力派の女性エッセイスト、KさんとTさんのお二人に、ペンクラブ会長より記念の盾が贈られ、参加者一同の祝福を受けた。
 研修会には会員以外の参加者もあり、支局長の的確なアドバイスを頂き、さあ書くぞ! の思いを新たにしながら散会した。

はがき随筆10月度入選

2009-12-01 18:08:45 | 受賞作品
 はがき随筆10月度の入選作品が決まりました。
▽垂水市市来、竹之内政子さん(59)の「金御岳」(20日)
▽志布志市志布志町志布志、小村豊一郎さん(83)の「夜明けの断想」(22日)
▽伊佐市大□上町、山室恒人さん(62)の「メタボちゃん」(25日)
  -の3点です。

 長崎の端島、俗称「軍艦島」に行ってみました。石炭を触ったことも見たこともない、若い観光客でいっぱいでした。近代化遺産といえば格好よく響きますが、私には、人間の欲望が自然を食い荒らした残骸に見えました。日本中が廃虚にならないといいのですが。
  竹之内んの「金御岳」は、鷹柱を見に行った時の感激がまとめられています。宮崎から大隅半島にかけてはサシバの渡りのルートらしく、遠方からも人が集まるようです。このような自然現象を見て、偶然集まった観察者同士が「一体感」をもったという感覚がすばらしいと思います。
 小村さんの「夜明けの断想」は、年をとると秋から冬へと夜明けが遅くなるのがつらいという、老いの独り暮らしのわびしさがつづられています。川端康成の小説にもその実感を描いたのがあります。眠れない時には読んでみてください。
 山室さんの「メタボちゃん」は、おなかいっぱいに食べた2歳の孫娘を「メタボちゃん」とあだ名で呼ぶと、意味も分からずに笑って駆け寄ってくる。その「あどけなさ」に病後の自分は慰められるという内容です。生命の継続のようなものが感じられる文章です。
 以上が入選作です。次にこの他の優れていたものを紹介します。
 道田道範さんの「リンゴ」(17日)は、40年前の長野旅行で、5歳の女の子にもらったリンゴがおいしかったので、田舎の父母に送った。それ以来お母さんが、そのことを「冥土への土産話」にもっていくと褒めてくれるという、心温まる内容です。
 久野茂樹さんの「真夜中の声」(27日)は、入院中の夜中の病室に、隣室から、娘さんの名を呼ぶ老人の絞り出すような声が聞こえてきた。「正しい老い方」への感懐を悲しく抱いたという内容です。
 山口弘さんの「長過きた忘れ物」(4日)は子供のころ、渋柿の渋を抜くために田んぼに埋めたことを思い出して、70年ぶりに訪ねてみたという、何とも人を食った内容です。軽妙な味がある文章です。
(日本近代文学会評議員、鹿児島大名誉教授・石田忠彦)
2009/11/29 毎日新聞鹿児島版掲載

一番の宝物

2009-12-01 17:46:47 | はがき随筆
 広島の原爆投下の2ヵ月前に2クラスの担任となり、23年に離れたがりーダーA君の努力で今も手紙・電話は続いている。
 10月下旬A・M君が代表で病気見舞いに来てくれた。昔の放課後は木登り・合唱・相撲・探検・焼き芋の話で笑い。自宅に泊まり幻燈機・手回し映画に夢中。休日は芋だんごやはったい粉を食べ、絵や毛筆を楽しみ散髪やつめ切りで騒ぐ。話題は尽きない。「僕たちは幸せな小学生でした。先生に感謝しています。また来ます」と少年のように手を振った。
  ″私の一番の宝物は、あなたたち″
  薩摩川内 上野昭子(81) 2009/12/1 毎日新聞鹿児島版掲載


公民館ロビーで

2009-12-01 17:37:13 | はがき随筆
 ある日公民館に出向くと、ロビーでは話がはずんでいた。
 70代の女性が「私は毎年この時期になるとのどがおかしくなるの。インフルエンザじゃないから心配しないで」と言うと、60代の女性は「そうそうインフルエンザといえば、早くワクチンを打ちたいのだけど。かかったらどうしよう」と言う。50代の女性は「私はワクチンは打たない。6000円かかるというじゃない。その分うまいものでも食べた方がいい」と言う。
 それを聞いて私は「今回は新型だから打った方がいいと思うよ。もういい年なんだから」とふと、つぶやいていた。
  鹿児島市 川端清一郎(62) 2009/11/30 毎日新聞鹿児島版掲載

つるべ落とし

2009-12-01 17:33:16 | はがき随筆
 夕方、30代とおぼしき女性が店内へ。「5時を過ぎるとすぐ暗くなり、つるべ落としって良く言ったもんですね」と私。すると、彼女は手を□に当て肩をすくめクスクスッと笑った。何がおかしいんだろう……という顔の私に「それってなんの事ですか?」
 「井戸につるべを……」と説明しかけたが、この世代は時代劇の中でしか井戸やつるべは知らないと悟り「秋の夕日は沈むのが早いということわざ」だと言うと笑顔のまま「フン~」
 昔ほどことわざを使わなくなり、語り継がれなくなるのではと思う瞬間だった。
  垂水市 竹之内政子(59) 2009/11/29 毎日新聞鹿児島版掲載


秋の朝に

2009-12-01 10:23:02 | はがき随筆
 甘く優しいキンモクセイの香りが、どこまでも追いかけてくる秋の朝です。宿無しの黒ネコが道路をのそのそと横切って行きました。向こうから、白のワイシャツに流行の黄金色のネクタイ姿の男性が歩いてきます。いつもは見かけない高校生が、今朝は自転車で通り過ぎていきました。
 ああ、なぜ、この風景の中に夫の姿が無いのでしょう。
 今年も、寝たきりの夫のために、玄関のキンモクセイの花を摘みました。もう目を覚まして私の姿を捜しているでしょう。
 甘い香りと一緒に、急いで家に入りました。
  鹿児島市 萩原裕子(57) 2009/11/28 毎日新聞鹿児島版掲載

こわれた椅子

2009-12-01 09:23:48 | はがき随筆
 孫息子が帰省するので、娘が玩具と椅子を買った。椅子はプラスチック製で100円。青と黄色で可愛い。孫息子は喜んで椅子に掛けた。私も掛けたら「ギシャ、ギシャ」と音を立てて壊れた。50㌔の体重をかけると壊れるかどうか思案したが試してみた。私の野心、冒険心がいたずらに働いた。大人げないことをした。心がとがめた。心の底から許せない気持だった。
 孫息子は「ばあちゃんの意地悪」と言い、予定より早目に帰京した。この次の再会には、仲直りの新しい気分で接しようと努力しよう。「破壊は簡単だが建設は難しい」
  加治木町 堀美代子(65) 2009/11/27 毎日新聞鹿児島版掲載

流れ星飛んだ

2009-12-01 00:00:44 | かごんま便り
 18日未明。千鳥足で帰宅後、一人で2次会?をやりつつ本を読んでいた。ふと気になって外をうかがうと昼間の曇り空がうそのような晴天だ。
 部屋の明かりを消し、多少着込んで出窓の下に横になる。窓を全開にすると、ビルの谷間からオリオン座と冬の大三角が視界に入った。転落して記事になるとシャレにならないから、気をつけながら出来るだけ身を乗り出す。お目当てはもちろん、しし座流星群だ。やがて明るい軌跡が一筋、また一筋。周囲の建物が街灯や車の明かりを遮ってくれるので、市街地でもそれなりに楽しめた。 
 流星群の元は、彗星(すいせい)や小惑星から軌道上に放出されたちりだ。それが大気圏で燃えて光るのだが、ある一点(放射点)を中心にして外に広がるような軌跡を描いて飛ぶ。流星群の名称は、放射点のある星座の名で呼ばれる。毎年決まった時期に出現するが、中には数年から数十年ごとに大発生するものがある。しし座流星群もその一つで「流星雨」と話題になった01年が記憶に新しい。今年もそれなりの当たり年とされていたが、日本では極大が夜明け後だったこともあり、8年前ほどには騒がれなかった。
 春は視界が悪く、夏は蚊に悩まされるので、流星ウオッチングは秋から冬にかけてが好機だと思う。もちろん防寒対策や安全面での配慮は欠かせない。長時間仰ぎ見るのは首が痛いので寝転がって見る体勢が取れればべストだ。街明かりや月明かりを出来るだけ避け、なるべく放射点から離れた空を眺めるのがコツ。その方が長い軌跡を拝めるので見やすいからだ。
 いわゆる「三大流星群」のうち、ふたご座群(12月中旬)、しぶんぎ群(1月上旬)の二つがこれからシーズンを迎える。皆既日食でちょっぴり天文に興味を持った人たちにも見てほしい。寒空でじっと待つのはつらいが、一度見ると病みつきになること請け合いだ。
鹿児島支局長 平山千里 2009/11/24 毎日新聞掲載