散歩に出るのは5時ごろ。懐中電灯は必携で闇の中を進む。日の出が早いころに出会った人たちも1人減り2人減って人との出会いはほとんどない。そんなぼくを慰めてくれるのかタヌキが顔を出す。民家に近いこんな所でと思うが、夜行性の彼らに支障は無いのかもしれない。早起きのじいさんと朝帰りのタヌキが思わぬ所で遭遇し、懐中電灯の光の輪の中でぼくを見上げ、照れ笑いのように見える。
会社勤めのころ、旅先で買ったタヌキの置物を、さり気なくぼくの机に置いてくれた女子社員のことを思い出して、苦笑しながら歩く。
志布志市 若宮庸成(70) 2009/12/10 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はtakocchiさん
会社勤めのころ、旅先で買ったタヌキの置物を、さり気なくぼくの机に置いてくれた女子社員のことを思い出して、苦笑しながら歩く。
志布志市 若宮庸成(70) 2009/12/10 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はtakocchiさん