はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

待望の直通バス

2009-12-02 18:40:34 | アカショウビンのつぶやき
 陸の孤島と言われて久しい大隅半島。
 県庁所在地の鹿児島市に行くには、路線バスで40分、垂水港からフェリーに乗り替えて35分、鹿児島市の鴨池港まで1時間半かかる。さらに鹿児島中央駅まで行くにはもう一度バスに乗り替える、乗り換え時間のロスを入れると約2時間近くもかかってしまう。

 嬉しいことに、12月1日から鹿児島中央駅まで直通バスが運行されることになった。2011年春の九州新幹線の全線開通による、大隅半島への交流人口増をねらったものだが、利用者にとっては嬉しいことだ。

 ただし、この不景気な時代にどこまで利用が増えるのかと言う心配もあるが、利用者の増加によりいつまでも運行できることを心から願う。

 関東に住む子どもたちを訪ねるとき、たまには新幹線利用もいいかもしれないなあ。

「支えられて」

2009-12-02 18:39:52 | 岩国エッセイサロンより
岩国市  会 員   横山 恵子

 母が「夕焼けがきれいよ。出て見んさい」と言う。うろこ雲の周りの紅色が目に飛び込んできた。しばし大空のパノラマにくぎづけだ。

 両親と同居して17年。いろいろあったが、不規則な仕事を支えてくれた功労者は母。悩んでいると「人は自分の肩に乗るだけの苦労は背負うものと言うからねー」とか「恩は岩に刻め、憎しみは水に流せ」との言葉に重荷も軽くなった。

 親子といえども、素直になれなくてたまに火花を散らすこともあった。でも、年とともにお互いまあるくなった? まだまだ頼りにしているんだから、□と同じように体も元気でいてね。
   (2009.11.29毎日新聞「はがき随筆」掲載)



「生きるとは?」

2009-12-02 18:38:29 | 岩国エッセイサロンより
   岩国市  会 員    安西 詩代

 「昨夜、主人が亡くなりました」と早朝の電話で告げられた。熊本の夫の友人を見舞いに行ってわずか16日目。あの日の彼のまだ生きたいという生命力あふれる握手が、手に残っている。

 医師から、もう手術も治療もできませんと言われ、自力での奇跡を起こすと彼と奥さんは頑張っていた。8月に日本アルプスをご夫婦で縦走した。

 私の夫は「登山で体力を消耗したから、病魔のほうが勝ったのだ」と悔やむ。しかし、山登りに行かなかったら、何力月長生きできたの? 私は最後の山登りに、二人の生き方を感じた。まだ星の残る早朝、夫は悲しい別れに出かけた。 
  (2009.11.27 毎日新聞「はがき随筆」掲載)



孫の結婚式

2009-12-02 16:31:32 | はがき随筆
 11月22日。晩秋の肌寒い曇った日だったが、,福岡で孫の結婚式。
 30年いとおしんできた初孫。感激ひとしおであった。喜んでいいのだが、2月に亡くなった妻に晴れ姿を一目見せてやりたかったと思うと、思わず涙が出てきた。
 孫は、娘と同じ大学を出て薬剤師。「いい夫婦」という語呂合わせの日だから、きっと幸せになってくれるだろうと思う。
 妻が亡くなって9ヵ月。私の寂しい生活に、大輪の花が咲いたような一日であった。
 また一人の生活に戻ったが、元気を出して頑張りたい。
志布志市 小村豊一郎(83) 2009/12/1 毎日新聞鹿児島版掲載