はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

有り難き日々に

2011-03-08 11:41:45 | はがき随筆
 この3月で、49年間の教職生活。その間に無職の日々もあった。今から49年も勤務しなさいと言われると、気持ちも動転するであろう。今日までも、ずっと続けられたこと、いき環境に恵まれた。
 4月以降、生き方は分かっていないにしても、あと1年で満50年になる。72歳になってしまう。ここまで勤務できたこと、神仏人の恩恵であろう。
 月1回の神社参拝・墓参りが恵みをつくり出してくださっている。そう信じて人間として自分として努めている。有り難き日々に感謝している。
  出水市 岩田昭治 2011/3/8 毎日新聞鹿児島版掲載

有尾さんのこと

2011-03-08 11:31:05 | はがき随筆
 先日亡くなられた有尾さん。初めてお目にかかったのは、かれこれ7年前のペンクラブ総会の時。入会したその日で、借りてきた猫というよりオオカミのオリの中に放り込まれたウサギの心境でした。たまたま隣にいた有尾さんが声をかけてくれ、その後も年2回の会であいさつを交わし、近況を語り合い、3年前には会計を引き継ぐことになった。
 これも何かの縁と思う。あの時、引き受けておいて本当に良かったと思う。会存続のためには支える人が必ずいるわけで有尾さんの功績は大きい。
 ご冥福をお祈りいたします。
  志布志市 若宮庸成 2011/3/7 毎日新聞鹿児島版掲載

ジョウビタキ

2011-03-08 11:19:40 | はがき随筆


 夜明け前、いつもと違う野鳥の声で目が覚めた。そーっと窓を開け目を凝らして見る。薄暗い中にジョウビタキの姿。「待ってたよ~」と思わず心の中で叫んでいた。昨年より一日遅い飛来だ。
 自然の摂理に従って毎年やってくるジョウビタキが、いとおしく、謙虚に生きなくてはと思う。
 鳴き声のキッキッ、カッカッが火をたく時の火打ち石を打ち合わせる音に似ている。それが火焚き(ヒタキ)という名前の由来らしい。
 これから、春先まで私を楽しませてくれる。
  垂水市 竹之内政子 2011/3/6 毎日新聞鹿児島版掲載  写真はフォトライブラリより

読みきかせ

2011-03-08 11:14:41 | はがき随筆
 近くの小学校へ時々、読みきかせに行く。寒い朝であるが、子どもが待っているので心弾ませて行く。読書好きの子どもが目を輝かせて聞いてくれる。
 「おはようございます」。子どもたちの熱い視線を感じながら見回し元気度を目測する。そして、持参した本の題を告げ目配りしながら読み始める。終わると大きな拍手をしてくれる。
 「今日はこれで終わりますね。元気よく一日頑張ってね」と言って教室をあとにする。白い息の中で、聞いてくれた。仲良く楽しく元気の良い一日になることを願って、私の一日も始まる。
  出水市 畠中大喜 2011/3/5 毎日新聞鹿児島版掲載

流される妻

2011-03-08 11:07:39 | はがき随筆
 冬ソナのドラマ。燃え立つ熱気で始まった韓流ブーム! 我が家は、今も熱気むんむん。
 主人公は還暦を飛び出た妻。朝、新聞でドラマをチェック。ドラマは字幕スーパーで声の吹き替えはダメ。じかに韓国語を聞きながらでないと「ドラマにひたれない」と語気を強め、そばには韓国語必携会話ブックと韓茶、韓菓を用意。だれも寄せ付けない1人の世界にはまる。
 韓ドラに興奮した日は、足早にストアに駆け込み、キムチ鍋、ビビンバ、チヂミの韓国料理三昧でニンニクプンプン。
 近々、3度目の韓国上陸をもくろんでいるのです。
  鹿児島市 鵜家育男 2011/3/4 毎日新聞鹿児島版掲載

春よ

2011-03-08 09:47:31 | ペン&ぺん
 弥生3月。めっきり春めいて日差しが暖かくなりました。支局に、うれしい話題が届きました。
 県立隼人工業高校の電子機械科2年、橋裕太郎君(17)が今年1月のニュース検定で2級に合格したという話です。
 ニュース検定、略してN検。正式名称はニュース時事能力検定試験。新聞やテレビニュースを読み解く力を認定するもので、毎日新聞などが主催しています。1級から5級まであり、政治経済、暮らし、国際問題、社会・環境など幅広い分野から出題されます。
 2級は大学生・社会人の中級レベル。橋君も一度は不合格だったそうです。もともと、工業高校は普通高校に比べて社会科や公民の授業時間が少ないというハンディがあります。今回は自分でテキストに取り込むと同時に、1、2週間前から放課後1時間、社会科の先生と、過去の出題を解く特訓を続け、本番に備えたそうです。
 N検事務局は「団体受検した工業高校は、全国で3校。受検者は各級合わせて8人。工業高校の生徒の受検は少なく、2級合格は極めて珍しい」と話しています。
 N検2級の合格率は、通常4割から6割とされていますが、今回は2割強で、難易度がやや高かったようです。
 橋君本人は「見たこともない問題もあって、合格できるとは思わなかった。先生から『合格おめでとう。頑張ったね』と言われてもピンとこなかった」と言います。さらに「いつか将来的にはN検1級にもチャレンジしてみたい」と言っています。まずは、難関の2級を突破して、一足先に春をつかんだ橋君に拍手をおくりたいです。
 高校生の活動といえば23日にはセンバツ高校野球が始まります。まさに「球春近し」。
 鹿児島実業は、昨年秋の明治神宮大会で準優勝した実力校。思い切り力を出し切る姿を見守りたいと思います。
  鹿児島支局 馬原浩 2011/3/7 毎日新聞掲載