はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

東北巨大地震

2011-03-12 21:49:17 | アカショウビンのつぶやき
何ということでしょう。
ついこの前、ニュージーランド地震で夢と希望を断ち切られた若い方々の悲惨な結果に胸を痛めたばかりでしたが…。
東北地方の大きな津波の被害には言葉もありません。

まるで生き物のように濁流が押し寄せすべてを飲み尽くしていく津波の恐怖に、人間の無力さを痛感せざるをえませんでした。

まだ手を付けることさえできない、壊滅状態の被災地の皆様に、一日も早い救援の手が差し伸べられますようにと心からお祈りします。

夜が明けて改めて目にした津波被害の惨状は目を覆うばかり…。
寒さと疲労の中で夜を迎える被災地に容赦なく緊急地震速報が出されています。
早くおさまってほしい…。
少しでも明るい明日を迎える事ができますようにと心よりお祈りします。


震源地から遠く離れた鹿児島まで、この地震の影響は及びました。ここ大隅半島はかねてから陸の孤島と言われる利便性の悪い土地です。
錦江湾を運航する桜島・垂水フェリーの両社が地震直後から止まってしまいました。完全にアウトです。
そして今日は鹿児島県民が待ちに待った、九州新幹線の全線開通の記念すべき日だったのですが、すべての行事がキャンセルになりました。

by アカショウビン

電子書籍

2011-03-12 21:43:42 | はがき随筆
 2月の誕生日で還暦を迎え、娘ら家族から、電子書籍読み取り機が祝いにと贈られた。趣味が本と文房具という、私の嗜好がうまく組み合わされた物だ。
 サイズは新書版の大きさ。画面を左右になぞるとページがめくれる。右上をタッチすると、端が折れた形が表示され栞の役を果たすなどの機能付き。老眼にとって文字の拡大もいい。
 早速ネット上の電子図書館から、著作権が消滅した作品をダウンロード。あやかしの小説家、夢野久作、小栗虫太郎らの著作を無料で手に入れた。しし新刊本も読みたく、うれしい悩みをくれたプレゼントだ。
  鹿児島市 高橋誠 2011/3/12 毎日新聞鹿児島版掲載

お茶

2011-03-12 21:38:30 | はがき随筆
 大きな薬缶に売ってるお茶っ葉と同じだという葉を入れ、湯を注ぎ、傍らの桶の中につけてぐるんぐるんと回して注ぐお茶は若みどり色。買って帰って、そうなるものと試してみるが、あの色は出ない。
 違いは、お湯の温度、茶葉の開き具合、湯のみの白さだろうか。
 毎朝、沸いた湯を茶こしの茶葉にかけ供える。その時の香りのうるわしさは、折々感じている。新緑のころは、ひときわかぐわしいものである。なのに色は若みどり色とは言えない。
 お茶のいれ方一つできない私です。
  鹿児島市 東郷久子 2011/3/11 毎日新聞鹿児島版掲載

けなげな腎臓

2011-03-12 21:33:03 | はがき随筆
 今月の検査結果もまあまあ。学生時代から検診のたびに尿タンパクで引っかかり、再検査に呼び出されては経過観察に。
 就職すると数年たたぬうちに私の腎臓は悲鳴をあげた。安静にして減塩・高タンパク食のごちそうを食べる入院生活を送った。同室の透析患者の粗末な食事を見て「いつか私も」と恐れおののいたものだ。
 あれから三十数年。安静、安静と怠け癖のついた私と違い、腎臓は今日もけなげに働いてくれている。そんな腎臓に私がしてやれることは減塩だけだと、私の不摂生を見抜いたかのように医師は念を押した。
  出水市 清水昌子 2011/3/10 毎日新聞鹿児島版掲載

トムとジェリー

2011-03-12 21:28:07 | はがき随筆
 夕方、歯医者からの帰り、信号待ちの列に並んでいた。口中がしびれ、ぼんやり外を見ていると、白黒のネコが飛び出し、横切った。
 対向車線の真ん中にネズミがいる。ネコはしまったと素早く向きを変え、腰を引き、ツメを立てて、悔しげに目を丸くしてにらんでいる。車が来ると知ってか、なかなか捕まえに戻ろうとしない。
 意外な場所で思いがけない動画を見て、その成り行きにハラハラ……。
 信号は青になり、気がかりなトムとジェリーの姿は、とうとう見えなくなった。
  薩摩川内市 田中由利子 2011/3/9 毎日新聞鹿児島版掲載