はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

エコ対策

2011-03-19 15:47:39 | はがき随筆
 朝。「おい、夕べからトイレの電気がつけっ放しや」
 昼。「パソコンのスイッチ入れっぱなしよ」
 「おい、誰もいない風呂場も洗面所も電気煌々やないか」
 「あんた、テレビつけっ放しで、どこに行ってたのよ」
 「おい、応接間の電気、消すのをまた忘れてるぞ」
 夜。「くだらないテレビなんか、いつまでも見ないで早く寝なさい。地球にも家計にも優しくないわよ」
 お互いに相撲の四十八手にもない「揚げ足取り」での星取をしなが、エコ対策に一日中いそしんでいる。
  肝付町 吉井三男 2011/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載

滑稽か本能か

2011-03-19 15:40:54 | はがき随筆
 岸壁に釣り糸を垂らし、ゆったりと魚が釣れるのを、釣り人が待つ。シューイ、シューイと水平に翼を広げてカモメが行き交う。釣り糸にかかった魚をカモメが横取りするさまを目のあたりにした。せっかく糸にかかった魚。それを風のように口ばして挟み取る横柄なカモメ。上空を旋回しては挟みとる。「滑稽? それとも本能?」。
 カモメとは知らずに夫から教わった。新発見だった。釣り人は複雑な心境だろう。憎らしいカモメと思うだろう。近くにはヒヨドリも4,5羽飛び交っていた。藍色した冬の海の潮騒が漂う和やかな光景。
  姶良市 堀美代子 2011/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載