はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

霜柱

2014-01-28 12:27:06 | はがき随筆
 北海道で氷点下40度を記録したとの報道があったが、自分もそうだけど、鹿児島に住む南国の人々には想像ができない寒さであろう。
幼い頃、田舎では家の前の畑一面に真っ白な霜が降り、外にあったバケツには厚い氷が張っていて、それを割って大きなボンタンの気に投げた記憶がよみがえってくる。
 そして、まだ舗装されていない農道には霜柱ができており、それをふみつけながら小学校に行ったものだ。それが街に住むと、霜が降った景色も見れず、霜柱も見ない。たぶん、霜柱は里山が似合うのだろう。
   鹿児島市 下内幸一 2014/1/28 毎日新聞鹿児島版掲載

発信中

2014-01-28 12:18:09 | はがき随筆
 運転免許なし、自転車にも乗れない原始人は二足歩行、のんびり聖母への祈りを口ずさむのが習慣になった。お人に会えば、立ち話、猫たちにちょっかいをだしたりもして。
 朝、教会への坂を登っていると、女子高生らしい人影が下ってくる。心の中で祈った「あなたに平和があるように」。
 すると、すれ違いざま、彼女が小さな声で挨拶してくれた。うれしくなって「おはよう」。以心伝心、テレパシー。このすてきな力を信じて「あなたに平和が訪れますように」という祈りを世界中の人々に毎日発信している。
  鹿屋市 伊地知咲子 2014/1/27 毎日新聞鹿児島版掲載

寒い朝に

2014-01-28 12:09:30 | はがき随筆
 布団のぬくもりの中、冷気を感じる寒い朝。「今日も仕事だ」と思えば、スルリと抜け出せるから不思議である。
 思えば50代初め失職中の私に娘が勧めた資格だ。その1枚の証が今の私を支え、それは生きがいとなった。昨年、再就職を果たした。こもりがちな私を通い詰め、ひっぱり出してくれた友に感謝する。今後の自分に影響するであろう、自身の集大成と思い、続けている訪問介護の仕事。今年も頑張ろう!
 白い息を吐きながら、朝食を待つAさんの元へ――。
 「待っていてくださいね」
  出水市 井尻清子 2014/1/16 毎日新聞鹿児島版掲載