覚せい剤取締法違反(所持)容疑で、男性デュオ「CHAG and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)容疑者(56)が逮捕された。昨年、週刊誌で薬物疑惑が報じられたが、名誉毀損で訴えることもなく、反論もなかったので、誰もが「もしや」と思っていた。当初、容疑を否認していたが「覚醒剤を使ったことがある」などと使用を認める供述を始めているという。「ひとり咲き」(1979年)、「万里の河」(80年)から知っていたので、事件が事実なら残念だ。心に残る歌詞で数々のヒット曲を生んだのに、あの警視庁組織犯罪対策5課に逮捕されるとは……。なぜ、覚醒剤に手を出したのだろうか。全てを明らかにしてほしい。
県警がホームページで県内の薬物事犯(覚醒剤、大麻、麻薬)の検挙状況を公表している。覚醒剤をみると、2011年は51人、押収量66.189㌘▽12年の特徴的傾向について①検挙者の年代別は30.40代が約6割②覚醒剤事犯再犯者の検挙が約8割③覚醒剤事犯では暴力団関係者の検挙が約半数④一般市民層への浸透、地方拡散が進んでいる――と説明している。
若い頃、警察官から薬物の怖さを教えてもらった。覚醒剤はその名の通り、精神が覚醒し、気分が高揚するらしい。でも薬が切れると、とてつもない脱力感、疲労感に襲われ、幻覚も。薬物を絶つのは難しく、次第に精神も肉体もむしばまれていく。入手するのに高額な金も必要で、生活はすさむ。乳児ら4人が殺害された「深川通り魔殺人事件」(81年6月)を覚えておられるだろう。服役中の受刑者も覚醒剤を使用していたという。
芸能人、アーティストらが薬物犯罪に陥るのはなぜ。新作、創作へのプレッシャーか。どんな理由があるにせよ、薬の力を借りてできなラブソングなど聴きたくない。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/5/27 毎日新聞鹿児島版掲載