はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ニシン

2016-01-11 11:15:55 | はがき随筆
 1月下旬ごろから産卵のために石狩湾の小樽の海にニシンの大群が現れる。昆布に産卵し、別名春告魚と呼ばれている。小樽の海がオスの放精で白濁するぐらい大群である。
 しかし、ニシンの世界にも気の早い者はいる。12月に入って粉雪が舞い飛ぶ中で釣れ始めた。こんな日は「釣れる」と地元のヤン衆が語ってくれた。はるか南の友人に送るぐらいたくさん釣れた。「刺身で食べて焼いて食べて、近所や親戚にも配った。ニシンを初めて食べた南の者は驚いた」と手紙を添えて故郷のミカンが届き、出水の風景が懐かしく思い出された。
  札幌市 古井きみえ 2016/1/11 毎日新聞鹿児島版掲載

可愛い餅つき

2016-01-11 10:58:29 | はがき随筆
 保育園の餅つきだ。せいろで4段重ねて蒸した。蒸し上がって湯気が立ちこめる米を石臼に移してついた。ペッタン、ペッタン。ヨイショ、ヨイショ。小さく可愛い声援を受けてついた。子どもたちも小さい杵をふり上げて力いっぱいついた。
 つき上がった熱く柔らかい餅を先生方が丸め、ノリを巻いて可愛い餅になった。青空の下に机と椅子を並べて、子どもたちが座った。子どもたちはほっぺたを膨らませて、「おいしい、おいしい」と食べた。これで子どもたちにも正月が来る。楽しいね。
  出水市 畠中大喜 2016/1/10 毎日新聞鹿児島版掲載

百円硬貨

2016-01-11 10:44:24 | はがき随筆
 ラジオの「今日は何の日」で1957年7月12日に百円硬貨が発行されたと聞き、驚いた。私が幼稚園児の頃は、もう百円玉が存在していたとは。
 小学生のとき、父が東京出張のおみやげに百円玉をくれた。珍しくて宝箱にしまいこんだ。高校の頃もまだ百円札を使っていた記憶がある。東京から来たいとこが「コインロッカーはどうするの?」と不思議がったが、コインロッカーを見たことがなかった。
 当時の鹿児島って日本最果ての生活をしていたのだと、今さらながら妙な感慨を覚えた12月11日だった。
  鹿児島市 種子田真理 2016/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載