はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

古 希

2016-04-10 22:20:13 | 岩国エッセイサロンより
2016年4月 9日 (土)
   岩国市   会 員   安西詩代

 69歳の誕生日を迎えた。めいが届けてくれたお祝いの包みを開けると、高野山でもらってくれたお札だ。「開運厄除 古希 安西詩代」と書いてある。
 「あら、私はまだ69歳よ」
 「高野山では数え年でいくので、69歳でなく70歳。古希です」
 「古希」という字が、今まで自分の年齢をあまり意識してこなかった私の胸に、ぐさっと突き刺さった。それと同時に、古希を祝ってくれる人がいることに喜びを覚えた。
 嫁からは「老人らしくない元気なお母さん、おめでとう」という意味のメールが届いた。おばあちゃんを6回も連呼している。「おばあちゃんを連呼して、私に老人を自覚させようとしているのでしょうけど、その手にはのらない (笑)」と返信した。
 近年、髪染めが面倒になった。白髪にしようと、4カ月間、髪染めをしていない。まだらの髪は、会う人それぞれが話題にする。「まだ早いわよ」 「5歳は年をとって見える」・・・。
 しかし、私の頑固な性格を知っていて、何回も会う友だちは「案外、いいよ」と言ってくれるようになった。見慣れたためか、言っても無駄と思うためかは分からない。
 「古くまれ」な年齢から、喜寿、傘寿、米寿と続くが、さて私はどの辺りで、おいとまとなるだろうか。

     (2016.04.09 中国新聞「こだま」掲載)岩国エッセイサロンより転載

連日の花見 幸せ実感

2016-04-10 22:17:19 | 岩国エッセイサロンより
2016年4月 9日 (土)
   岩国市   会 員   山本 一

 5日連続で花見をした。最初は3月30日、岩国市内の公園で趣味の会のメンバー十数人と。まだ三分咲きだった。翌31日は次女と2人の孫、わが夫婦の5人で錦帯橋へ。
 3日目の4月1日は別の会のメンバーと、やはり錦帯橋。次の日は、在職中の仲間約10人で昼すぎから午後9時まで。
 桜はほぼ満開となり、錦帯橋の屋外桟敷で人と酒と桜に酔う。
 5日目は最初と同じ市内の公園、近所のご夫婦と。満開だった。
 五体のあちこちにきしみがあるが、5日間を振り返って小さな幸せを感じる。酒が何とか飲める。友がいる。桜をめでる心が残っている。
 話はおおむね健康のこと。そうでなければ思い出話だ。将来の夢の話はまずない。「逝くときはピンピンころり」と、一気に夢の先へと話が飛ぶ。
 2日目の5歳と1歳の孫相手の日は違った。先も過去もなく、眼前の無邪気さに心を洗われた。来年もまた、つかの間の桜に幸せをもらいたい。

   (2016.04.09 中国新聞「広場」掲載)

通学路で見守る成長

2016-04-10 22:15:06 | 岩国エッセイサロンより
2016年4月 7日 (木)
   岩国市   会 員   片山清勝

 家の前は通学路だ。毎日、元気に登下校する児童の姿を見ることが、日常生活の一部になっている。
 「おはよう」と声を掛けても、返事がままならなかった1年生が、しばらくすると、はっきりと返せるようになっている。
 ランドセルの黄色のカバーが少し色薄くなった分だけ、成長したことを感じさせる。
 児童に関わる事件や事故の報道が後を絶たない。学校から、メールで注意情報の連絡があると、めいから聞いている。
 そのようなことが、快活に登下校する子らに起きないことを願っている。
 インタビューで、「春休みは、どのように過ごしますか」と問われ、「交通事故と病気に気をつけます」としっかり答えた女子児童に感心した。
 春休みが終わると、それぞれ進級する。「また一つ成長への階段を上かってほしい」。そんなことを思いながら、新学期の登校を待っている。 

    (2016.04.07 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載