はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

財布

2016-08-29 21:55:13 | はがき随筆
 買い物にはポイントがつくので、よくカードを使うが、財布を持たないと心配になる。
 私は何度か財布をなくした。昔、千葉でゴルフ大会があり、ゴルフ場のバスで駅に着くと財布がない。たまたま数万円入っており、ゴルフ場に聞いても見つからなかった。諦めていたら半年後、バスのシートの間に挟まれていたと電話があった。
 鹿児島方言で財布を「ふぞ」と呼ぶ。「宝蔵」の転訛である。さつま狂句ではよく財布の句を投稿するので「お金に不自由した句ばかり」と妻が笑う。
 目を瞑っ財布んなかをば算用しっ
  鹿児島市 田中健一郎 2016/8/23 毎日新聞鹿児島版掲載

体内年齢

2016-08-29 21:48:03 | はがき随筆
 最長寿国の我が国、健康志向が高く、関連番組を見ては実行してみる。でも、長く続かない。効果のある食品も時と共に忘れ去られ、あの健康食品ブームはどうなったのか、と問いたくなる。体に良いのはわかります。それら、すべてを口にいれると大変なことになり、体重増加は避けられない。惑わされず、自分なりに吟味し、良いとこ取りでやるしかない。プールにジム、ウオーキングと運動好きの私、先日の測定で、標準、体内年齢40代だった。我ながら驚いた。細く、長く続けてきた結果だとうれしくなった。これからも続けよう!
  鹿屋市 中鶴裕子 2016/8/22 毎日新聞鹿児島版掲載

家族会準備 老い実感

2016-08-29 21:39:42 | 岩国エッセイサロンより
2016年8月26日 (金)
    岩国市   会 員   山本 一

 お盆の14日、猛暑を突いて、わが家の庭で毎年恒例の家族会を開いた。
 この準備が本当に大変だった。毎年朝から私1人で会場の準備をするが、今年はとりわけつらかった。
 炎天下、机5卓、いす13脚を運んで汗が滝のように流れ落ち、30分ごとに給水しながらの作業。昼前になると、くらくらしてきた。
 参加者は大人10人、子ども3人。父母は他界し、きょうだい4人を中心とした私方の家族有志である。
 食事の準備を一手に引き受けている妻は血縁がない。その分、気分的に私よりもっと苦痛だったかもしれない。
 翌朝の庭の片付けは、次女の夫が早朝から加勢してくれ、それでも昼までかかった。この結果を踏まえ、これまで続けてきた家族会を今年で終わりにすると皆に連絡した。
 これまでできていたことが、また一つできなくなった。老いていく過程の一こまだと思うと何だか寂しい。

     (2016.08.26 中国新聞「広場」掲載) 

嫁や孫を平和ガイド

2016-08-29 21:35:38 | 岩国エッセイサロンより
2016年8月29日 (月)
    岩国市   会 員   横山恵子

 先日、広島市内に住む嫁から「子どもたちを連れて、原爆資料館(広島市中区)に行ってみたいです」といううれしいメールをもらった。
 孫たちは6歳と4歳。どれだけ分かるかなと思ったが、焼けた三輪車や全身やけどの写真などを、びっくりしたような面持ちで見ていた。夏休み中でもあり、オバマ米大統領の折り鶴効果で館内はいっぱいだった。
 平和記念公園では原爆投下前の写真を見せて「こんなに多くの人たちが住んでたんよ。ここを公園にする時は、たくさん人のお骨や茶わんなどが出てきて、人々は涙を流したのよ」と話した。
 被爆したアオギリ、峠三吉詩碑、原爆供養塔…。酷暑の中、元気いっぱい平和の鐘を突いた。ピースボランティアを始めて6年余り。孫をガイドする日が来るなんて、感無量たった。
  「戦争ほどむごいものはない」と常々言っていた亡父の思いを少しずつ伝えてやりたい。小さな手を合わせて祈る姿を見て、平和を築くのは大人の責任と思った。

     (2016.08.29 中国新聞「広場」掲載)

朗読

2016-08-29 21:32:29 | はがき随筆
 家に居て人と会わない日もあり、一日中、口を閉ざしたまま終わる。健康上悪い。何かプラス志向の方法はないかと老いの知恵を絞る。新聞雑誌・本は全て目で読んでいる。一日中寡黙で過ごすと心が閉ざされる。声を発すると心の闇に光が差して爽快な心境になる。声の発声はプラス志向につながる。健全な発声法だ。本紙の「余録」を毎号朗読すると心に決めた。次に読む記事も時間の許す限り朗読したい。夢はナレーターの卵もいい。素質は十分に満たされていたの。シニア部門に虹の橋がかかりそう。落合恵子、竹下景子の朗読も好き。
  姶良市 堀美代子 2016/8/21 毎日新聞鹿児島版掲載