幼い頃、ひなびた縁側で祖母が背をかがめて日なたぼっこをしていた。こぢんまりとした顔や体つきは父の母親に、しかと映った。針仕事に精を込めている。のどかな時を経る日もあった。祖母の傍らに寄るとうれしかった。老婆のしわくちゃの顔、手足は不思議にも大黒さまのごとく神々しく映った。白髪を解き竹ぐしで梳いてあげた。肩をもむと肉の薄い骨がごつごつと手触りが悪かった。こっくりと船をこぎだした。1世紀も世の橋を渡り、歴史を刻んだ。祖母に感謝の念でいっぱい。祖母の細長い目はうるんでいた。私の目にも涙が光った。
姶良市 堀美代子 2016/11/18 毎日新聞鹿児島版掲載
姶良市 堀美代子 2016/11/18 毎日新聞鹿児島版掲載