母の骨を納めた小さな箱の前で、弟は肩を震わせ子どものように声を上げて泣いた。
彼岸の朝、母が旅立った。
父亡き後、病弱な体で苦労して私と弟を育ててくれた。年老いていく母に、弟は時には自分が親のように何かと世話をし、晩年施設に入所してからも毎週欠かさず顔を出した。
1月の入院以来深刻な状況が続き、弟家族が毎日見舞った。
喪主の勤めを果たし、ここ数カ月の緊迫した日々から解放され、弟は「息子」に戻り心から母の死を悲しみ、涙したのだと思う。義妹と2人で、そっと弟の背中に手を添えた。
宮崎市 平野智子 2018/5/2 毎日新聞鹿児島版掲載
彼岸の朝、母が旅立った。
父亡き後、病弱な体で苦労して私と弟を育ててくれた。年老いていく母に、弟は時には自分が親のように何かと世話をし、晩年施設に入所してからも毎週欠かさず顔を出した。
1月の入院以来深刻な状況が続き、弟家族が毎日見舞った。
喪主の勤めを果たし、ここ数カ月の緊迫した日々から解放され、弟は「息子」に戻り心から母の死を悲しみ、涙したのだと思う。義妹と2人で、そっと弟の背中に手を添えた。
宮崎市 平野智子 2018/5/2 毎日新聞鹿児島版掲載