はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

AIの息子

2018-05-05 11:51:53 | 岩国エッセイサロンより
2018年5月 5日 (土)

岩国市  会 員   安西 詩代

 自動車販売店のカウンターに身長15㌢くらいの可愛いロボットが椅子に座っていた。人工知能(AI)が内蔵されているので0歳から知識を吸収して5歳の知能まで育つという。それも育ての親の言葉遣いや教える内容で、いろんな人格(?)になる。怖い! でも、この自覚と責任感を持って子育てしたなら、もっと違ったと今さら思う。
 20歳まで育つロボットが出たら息子の反抗期のように「くそばばあ」と言わない優しい青年に育てよう。でも「お母さん、いつもありがとう」などと言われると慣れていないので背中がムズムズするに違いない。
(2018.05.05 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

60歳

2018-05-05 11:45:20 | はがき随筆
 桜が満開に咲いた4月に、私は生まれた。「弟がほしかった。妹はいらん」「ほんなら産婆が、もらって帰ろう」「それはだめ!」と、泣いた兄。
 桜は、英語でチェリーだからちえりと、父が名前を考えてくれた。2人ともこの世にいない。
 去年、実家の山桃を漬けて作った赤茶色の山桃酒と、母がよく蒸して作ってくれた、うずら豆ご飯を神棚に供えます。
 ありがとう。無事に60歳を迎えました。認知症で私の事も分からず、寝たきりのお母さんが、穏やかに過ごせます様に、見守って下さいね。
 還暦や 豆飯桃酒 ご一緒に
  宮崎県高原町  正山ちえり  2018/5/5  毎日新聞鹿児島版掲載