秋ともなれば十数年前の北海道旅行を思い出し、アルバムを開いてみた。みんな若く、はつらつとしている。ラベンダーの広がる富良野の風景が浮かんでくる。薄むらさきの花の香りに深呼吸をしたことを思い出す、そばに立つ亡夫はお気に入りのジャケットにリュックを背負い、思いきりの笑顔だ。何がそんなにおかしかったのだろう、聞いてみたい。
そのころ写真はフィルムで現像に出し、でき上がるまでが楽しみだった。時にはフイルムが空回りしたこともあったと、思い出が浮かんでくるひとり旅。
鹿児島市 竹之内美知子(85) 2019/11/7