買い物を終えカートを引いてマンションのエレベーターの前に着く。「只今、点検中、危険ですから近づかないで下さい」。終了時間もないドアの張り紙が目に入る。カートを引いて3階までは運べない。しばらく立ちすくむ。
思いがけず、エレベーター脇の階段から、若い奥さんが1歳くらいのお子様を抱いて降りて来られた。私の戸惑った様子に「大丈夫慣れてますから」と言いながら3階の我が家まで持っていってくれた。この早わざに驚いた。同時に胸が熱くなり、この感激。優しさに心が打たれ、天使のようにさえ思えた。
宮崎県延岡市 島田葉子(86) 2019/11/18 毎日新聞鹿児島版掲載