はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

赤とんぼ

2022-09-06 21:12:56 | はがき随筆
 今日から学校は2学期を迎え、小学生たちが元気な姿で登校していきます。
 萎えていた私は小学生に元気をもらい、10時から歩きに出ました。日差しは強く、汗が出ます。健軍川添いの遊歩道にさしかかると、目の前を小さな物体が横切りました。私は蜂かと思い、思いっきり手で払いました。立ち止まり、落ち着いて周りを見渡すと、遊歩道から川面に赤とんぼが飛び交っていました。
 「わあー赤とんぼだあー」。大声を出してしまいました。
 今日は気温35度の予報が出ている中、自然界は秋を運んでくれています。感動! 感謝!
 熊本市東区 川嶋孝子(83) 2022.9.6 毎日新聞鹿児島版掲載

笑顔のバイバイ

2022-09-06 20:09:42 | はがき随筆
 妻と立ち寄ったスーパーの通路で、私の右手に何かが触れた。柔らかくて、暖かくて、小さくて……。それは心を穏やかにするもの。安心感をくれるもの。何十年も忘れていた感触。見知らぬ老人の手をいきなりぎゅっと握ってきたのは、まだ人を疑うことを知らない二、三歳の男の子だった。
 「ママ、どっかへ行っちゃったのかな。じゃあ、じいちゃんに抱っこして探してみよう」。184㌢の高みでその子を肩車して二、三歩行くと「あっ、ママだ!」。ぼくたちは一瞬マスクを外し、満面の笑みでバイバイをした。
 鹿児島県霧島市 久野茂樹(73) 2022.9.5 毎日新聞鹿児島版掲載

縁あって応援

2022-09-06 10:33:21 | はがき随筆
 昨年の秋、毎月ガスメーターの検針の来るガス屋さんに「台所のガス台を新しく取り換えませんか?」と勧められた。
 35年前に据えたオープンと一体化したガス台。使い勝手が良く何より頑丈だ。高い壁掃除の時、ガス台に乗っている私だ。「35年前のガス台を見た事がない」とガス屋さんは言う。
 熟慮の末、新品と入れ替えた。その時、抽選券を頂く。そして今春、当たりましたとガス屋さんがン万円の商品券を持参。
 今夏、その商品券を頂いた会社のチームが都市対抗野球に出場していた。勝ち進み優勝だ。私は勿論、心から応援した。
 宮崎県延岡市 源島啓子(74) 2022.9.4 毎日新聞鹿児島版掲載