行水も日まぜになりぬ虫の声
50年前の新婚の頃、夫の本を捲っていてこの句を見つけた。何とよく言い得ている事かと、この句との出会いがうれしかった。その頃、姉が毎週のように新聞の歌壇に載っていたので、私もと投稿してみたが全滅であった。自分には文才が無いのだと作るのを諦めて鑑賞する事に徹して来た。姉のように名首は残せなかったが、いい文学作品に出会う喜びは味わえたと思う。今朝、窓を開け、冷気と共に心地よい風を感じながら、ふと来山の句を思い出したのだが、さて、この句が載っていた本は誰の名の何と言う本だったかな?
熊本市北区 井出リエ(76) 2022.9.28 毎日新聞鹿児島版掲載