2017年5月 6日 (土)
岩国市 会 員 安西 詩代
一番上の姉が胃ろうの手術をした。病室に行くと胃に食事を入れていた。
寝たきりの顔をのぞくと、良い所に来たというそぶりで「あそこの器にお砂糖を入れてちょうだい」と何もない宙を指さす。「どうしてお砂糖がいるの?」と聞くと「今晩は煮物を作るの」という。2人部屋で 隣の方は食事ができる。煮物の香りがして味覚の記憶がよみがえったのだろう。
「切り干し大根にイリコと油揚げを入れるの」。涙をこらえ「あら、おいしそう。器にお砂糖をいっぱい入れておくね」と答えるとうれしそうに「ありがとう」とまた宙を見つめた。
(2017.05.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)
岩国市 会 員 安西 詩代
一番上の姉が胃ろうの手術をした。病室に行くと胃に食事を入れていた。
寝たきりの顔をのぞくと、良い所に来たというそぶりで「あそこの器にお砂糖を入れてちょうだい」と何もない宙を指さす。「どうしてお砂糖がいるの?」と聞くと「今晩は煮物を作るの」という。2人部屋で 隣の方は食事ができる。煮物の香りがして味覚の記憶がよみがえったのだろう。
「切り干し大根にイリコと油揚げを入れるの」。涙をこらえ「あら、おいしそう。器にお砂糖をいっぱい入れておくね」と答えるとうれしそうに「ありがとう」とまた宙を見つめた。
(2017.05.06 毎日新聞「はがき随筆」掲載)
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