子の意見など聞く耳持たぬ母だった。私は幾度となく同居を勧めたが断り続け、76歳の時の話し合いでは怒って口もきかなかった。その母は91歳で入所した施設で暴力をふるい追い出され、病院を転院して今年7月、95歳で逝った。その日から親を施設に捨てたという自責の念が頭から離れない。用を足しに起きると容易に寝付けない。できるだけの事はしたと自負しても、母の死に顔が浮かび「なぜ捨てた」と耳元で聞こえるような……。が、家庭での介護は双方が甘え合い傷つけ合っての別れも多いという介護の現実を知り、少し自分を許す気になった。
鹿児島県湧水町 近藤安則(67) 2021.11.21 毎日新聞鹿児島版掲載
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