居間に母の写真を飾っている。喜寿祝の時のもので、お気に入りのワンピース姿にバッグを持ち、にこやかな表情だ。
母の命日の朝、写真を見つめながら一緒にデパートに出かけた時のことを思い出した。母の日のプレゼントを買うため婦人服売り場へ向かった。母に似合いそうな品を見て回るが、目移りして決まらない。
私選ぶ人、母着る人となり、試着の手伝いをしながら、私は更衣室を出たり入ったりした。ようやく色柄、サイズとぴったりのワンピースが見つかり母の日の贈り物にした。うれしそうな母の笑顔が浮かんでくる。
鹿児島市 竹之内美知子(89) 2021.11.20 毎日新聞鹿児島版掲載
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