はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

友達

2007-08-02 10:26:33 | はがき随筆
 今でも雨が降ると思い出す一瞬がある。高校から駅に向かう私は、しとしと降る雨にぬれながら歩いていた。
 ふいに後ろから声が。「よかったら一緒に」と傘をさしかける彼女の顔は何となく知っていた。同級生、でも名前も知らない彼女。それから言葉を交わすようになり、私たちは親友になった。偶然にも誕生日まで同じ。3年ではクラスも一緒になった。
 友達なんていらないと意固地になっていた。でも友は与えられるのだ。突然に。友達がいないと思っている人にも必ず出会いがある。自分が自分らしく生きてさえいれば。
   喜界町 福崎康代(44) 2007/8/2 毎日新聞鹿児島版掲載

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