梅雨明けを思わせる晴れた日の夕方、ナガサキアゲハがサンダンカの蜜を吸いに来た。母屋の縁側に腰掛けながらカメラで追っていたら、ふと先日の夜、亡き母の夢を見たことを思い出した。母はちょうどいま私が腰掛けているところに腰掛け、背中を丸めて庭を眺めていた。そういえば母は何でも丸く刈り込むのが好みだった。サザンカもオガタマも丸められている。それらを改めて見ていたら、そうだ、母はこの庭を見に来ていたのだ……と気がついた。
そして今もアゲハ蝶に姿を変えて、サンダンカの周りを舞っているに違いないと……。
鹿児島県西之表市 武田静瞭(84) 2020/9/12 毎日新聞鹿児島版掲載
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