40年前に家を建てたとき、父がモクレンの木を移植してくれた。そのモクレンの木は大きく見上げるばかりに。四つ五つ蕾を見つけ、毎朝見ていると少しずつふくらみ、蕾も増えている。昼ごろ花が咲いていた。少し元気がない。根方の土を起こし、油かすを入れ見上げると〝ありがとう〟と声がしたような。一人ぽっちの私、話し相手になってくださる人たちに「見て」「見て」と声も華やぐ。
植物に造詣の深かった今は亡き義父母、夫、花を見上げて「ありがとう」。声が空まで広がっていくような気がした。
鹿屋市 小幡由美子 2016/4/22 毎日新聞鹿児島版掲載
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