はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

さくら貝

2007-05-28 07:15:08 | はがき随筆
 5月3日、緑の木々に花が咲いて山々が一層豪華な装いをなす。日本の自然の美しさに躍動を感じる季節である。まず江口浜へ。大潮の昼は砂浜が広く海が向こうにある。小流れのあるあたりの水辺に、まず目についたもの。それは、さくら貝である。小石の間にはさまったり流れに浮かんだり。ビーチサンダルをはいているのは孫2人なので、こっちに、ほらあそこにと言いながら拾ってもらいながら時を忘れてしまう。ただでさえ壊れそうな花びらを弁当殻に入れて、名残を惜しみながら阿久根へと発つ。そうそう夫が亡くなった頃、よくこの貝を拾ったなあ。
   鹿児島市 東郷久子(72) 2007/5/28 毎日新聞鹿児島版掲載

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