義母は99歳になってすぐに新年を迎える事ができ、七草の翌朝安らかに息を引き取った。
施設からの電話の度に会いに向かう道すがら「お義母さん誕生日が来るよ、正月もね」とつぶやき、枕元でも語りかけた。
もう最期だろうと覚悟しても仕事のやりくりに頭を悩ませた。正月前後は気も休まらなかった。飾り餅は買って済ませ、賀状は書かず、寒中見舞いを出すことに決めた。
正月過ぎまで頑張ってくれたのは、残された者への最後の計らいと受け止めた。好天下、大往生を祝福されているような晴れ晴れとした野辺送りだった。
宮崎県串間市 武田ゆきえ(67) 2020.3.19 毎日新聞鹿児島版掲載
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