はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

無花果の木

2020-07-05 16:35:55 | はがき随筆
 季節はすごい。ただ一枚の如きが、時が来れば知らぬ間に、その木らしく整っていく。杉垣を塀に替えた後、広まった場所に植えた数種の果樹。粗雑な園芸屋さんで枯れ木を買わされたと思ったが、疑ってごめんなさい。無花果にたくさん葉が繁ってうれしいです。来年さ来年には実をつけるかしらん。さまざまなジャムを作ろうとワクワクします。昔は、母がよく無花果ジャム、夏ミカンの皮や蕗茎で砂糖菓子を作ってくれた。お焦げの匂い、もったり濃厚なおいしさ。その直伝は、今も私の滋養の源だ。無花果の木は、懐かしさをさらに濃くしてくれる。
 熊本県阿蘇市 北窓和代(65) 2020/7/4 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿