パチッと目が合った。“しまった”とオクラが身構える。容赦なく摘み取っていく。バケツの中から、どよめきに似た歓声が聞こえるようだ。早朝のオクラ畑は、光と影が織りなす不思議なウエーブの迷路となる。遊ぶには格好の場である。
オクラは特臭を放ち、葉脈はほんのり桜色。浅黄色の花は上品で、心が和む。ヌルッとしてトゲがある。摘み取られずにウドのように大きくなったオクラがあざ笑いながら、通せんぼをする。
今日も探検隊気取りのいでたちで摘み取りに挑む。チクッとやられないように!
指宿市 池元民子 2012/9/19 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます