朝の食膳に南瓜のお煮付けが載っている。ふうっとため息をつく。思い出は戦争中に蘇る。
ある日、学校から帰ると南瓜が台所にゴロゴロ。「どうしたの」と聞くと「今月の配給」と母の返事。「お米は?」「ゼロ」。一目見ただけでうらなりと分る。15個くらいあったかな。これで1か月分かと思うと力が抜けてしまった。来る日も来る日も水っぽい南瓜のスイトン。つらかった。栄養失調になってちょっとした傷も化膿した。日の丸弁当が懐かしかった。今の南瓜は栄養満点、こっくりと甘くおいしいのはよくよく知っている。でもお箸が動かない。
熊本市中央区 増永陽(92) 2022.8.10 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます