私には琉球・奄美の血が流れているのだろう。三線の音を聞くと五体に沁み渡る。にぎやかな曲では心が躍り、静かな曲にはしみじみとする。
もう幾昔も前、ロスアンゼルスに留学し、日系人経営の大きな下宿屋に逗留していた。そこの大方の住人は日本からの出稼ぎのガーデナーだった。窓の下を酔っ払いが野太い声で歌って行く。そんな中、一階の遠い部屋から三線の透き通るような音が流れてくる。おそらく沖縄出身の方が故郷をしのんで奏でておられたのだろう。
異郷で聞いたその音色は今でもよみがえってくる。
鹿児島市 野崎正昭(88) 2020/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載
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