「バキッ、パキッ」とハサミの音がハウスの中に響く。アスパラガスの最盛期を迎えた叔父の畑だ。日中を避け早朝と夕方に作業をする。母は一手に引き受け、黙々と収穫している。
若くして結婚、離婚を経験した母は私と妹を育てるために仕事漬けの日々。私も妹も母は家にいないか、寝ている人だと思っていた。
そんな母が50歳の誕生日を迎えた。再婚後生まれた弟と妹を連れ、お寿司を食べに行った。母が笑顔で食事をしている姿が新鮮だった。「ありがとう。ごちそうさまでした」。母の顔がすっかり和らいでいた。
熊本市中央区 大和由夏(28) 2019/8/8 毎日新聞鹿児島版掲載
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