袋の中から手のひらに転がり出たタネは1㍉もない。去年から夏大根10本の収穫を夢みて、30粒のタネをまく。「さあ目をお覚まし」。土を軽くかけ、たっぷりの水をやる。畑の中のその場所が、その時よりいとおしくなる。何度ものぞきに行く。土を感じ、水を感じただろうか。今ごろ、かすかに動き始めただろうか。
「ゆっくりでいいよ。ゆっくりで」土の中から、うっすら緑がみえるまで、私の心はとりこになってしまう。
4日後、ぱっちり開いた双葉が両手広げて笑っているようにみえる。
出水市 中島フヂ子(62) 2007/7/16 毎日新聞鹿児島版掲載
「ゆっくりでいいよ。ゆっくりで」土の中から、うっすら緑がみえるまで、私の心はとりこになってしまう。
4日後、ぱっちり開いた双葉が両手広げて笑っているようにみえる。
出水市 中島フヂ子(62) 2007/7/16 毎日新聞鹿児島版掲載
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