長い梅雨が明けた夕方、茜色の空を赤とんぼが飛び交う。
どこからこんなにたくさん飛んでくるのか? でうして? ばあちゃんに聞いたことがある。「しょろさんて言うて、お盆にご先祖さまや亡くなった人の魂を乗せて来るから大切にせんとね」。幼い私は納得した。この季節になると、せつなく思い出す。神様の使いのように思え、優しい眼差しになる。ずっと目で追う。7月の大水害で亡くなった方々の家の周りでも飛び交っているはずた。自然に癒され、自然に翻弄される。それに立ち向かう強い精神と身体が欲しい。
熊本県八代市 鍬本恵子(74) 2020/9/1 毎日新聞鹿児島版掲載
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