夫が7年間の闘病中、最期の3年間をすごしたマンション近くのアジサイの花が消えた。
一日1回の車椅子での散歩中、ご近所の家の前に咲いていた一鉢のアジサイの花。雨の日も、晴れの日も歌うように咲き、その花々が枯れるまで一緒に見届け、翌年の花を楽しみにしていた。
昨年亡くなった夫の命と同じように、消えたアジサイ。生きている限り、この季節には夫と一緒のときのように、愛でながら過ごすつもりでいたのに。玉響のような人生に、一瞬の輝きをともしてくれたアジサイに会いたい。
鹿児島市 萩原裕子 2015/6/21 毎日新聞鹿児島版掲載
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