湿原を囲む遊歩道を散策して出口につながる橋のたもとまで来た時、足元で何かが動いた。
蛇だ。70~80㌢ほどで口にはカエルをくわえている。カエルは命乞いをするかのようにギーギーと鳴いていて哀れだ。
折しも向こうから上品そうな熟年夫婦が近づいてきた。男性は「絶好のシャッターチャンス」とカメラに収めた後、いきなり尻尾を踏んづけると蛇は橋下の草むらへと落ちていった。
「なんばしよっと。やっと食料にありつけたかもしれんとに」。女性がすかさず言った。
まるで鉄也の母ちゃん、しかも蛇の見方だ。人は見かけに……。
宮崎県延岡市 楠田美穂子(64) 2021.11.20 毎日新聞鹿児島版掲載
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