はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

瞳の澄んだ人

2017-05-25 16:56:54 | はがき随筆
 まるで仙人のような人が、霧島の奥地に住んでいた。
 初めて出会えたとき、その人の目を見てびっくり。澄み切った瞳だった。湖のように深く澄んでいる。今時、こんな目の綺麗な人に巡り合えたことはなかった。失礼とは思ったが、「おたくの目はきれいですね」と思わず口にした。「そうですか」と笑顔で返された。
 まるで、かすみか雲でも食べているのではないか、と思わせるその方から、センリョウの葉に斑の入った、小さな苗木を分けてもらった。植えた鉢のセンリョウは、彼の瞳を思い出させる。
  出水市 小村忍 2017/5/25 毎日新聞鹿児島版掲載

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