「妹はいいなぁ」と、二つ違いの姉は私のことをずっと羨ましがっていた。
幼い頃、末っ子の私は母と寝床が一緒だった。母は柔らかくあたたかで、毎晩安心と極楽の気分だった。一方、姉は父と寝ていたが、痩せ気味の父はゴツゴツと固く冷たく冬などは足元がなかなか暖まらなかったと今でもボヤくことがある。
その後、父は病に倒れ、高齢になった母を、独り身の自分が在宅介護する生活が始まった。寝たきりの母を見送るまでの8年間、再び私が母を独り占めにさせてもらった。
時折そのぬくもりが恋しい。
宮崎市 藤田悦子(74) 2022.7.4 毎日新聞鹿児島版掲載
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