年の暮になると、祖父は毎年ワラの束を抱えて帰ってきた。正月用玄関飾りの手作りのためだ。子供の頃、社宅に住んでいた。新年を迎えると、どの家もしめ縄を円にし鶴の形をした物を飾っていた。我が家だけ、エビをかたどった棒状のしめ縄だった。1軒だけ異質な飾りに、私の心は餅のヒビの様にカサついていた。
祖父はワラを足の親指にかけ、縒り上げて縄を作り、細かい個所から太い部分へと造形した。胴下にワラを差し込み足に。ウラジロとミカンを付け完成。二つと無い飾りの手順を習わなかったことを悔やんでいる。
鹿児島市 高橋誠 2013/12/22 毎日新聞鹿児島版掲載
祖父はワラを足の親指にかけ、縒り上げて縄を作り、細かい個所から太い部分へと造形した。胴下にワラを差し込み足に。ウラジロとミカンを付け完成。二つと無い飾りの手順を習わなかったことを悔やんでいる。
鹿児島市 高橋誠 2013/12/22 毎日新聞鹿児島版掲載
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