はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

冬の波紋

2019-12-25 19:19:21 | はがき随筆
 年末迫る椎葉村。仕事で扇山の中腹へ車を走らせた。気温計はひとあし先にと、零へ向けてカウントダウン。くもりがかった、窓と山なみ。
 眼前の頂は妙に白く見えた。最大ズームしたカメラ越し、樹氷だと気付く。周囲を見渡しても、他の山々にはまだ見えず。吹き下ろす風は、辺りに一層冷えた空気のおすそわけ。次第に周りへ広がる冬の波紋。はじめの一滴をこの山が落とす、
 「やうやう白くなりゆく山ぎわは……冬でもか」。別な意味で当てはまった枕草子の一文に感心し、心だけは温まった。
 宮崎県日向市 梅田浩之(27) 2019/12/25 毎日新聞鹿児島版

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