ある朝、台所の出窓に置く小さなはかりに塩20㌘が載っているのに気がついた。あれ、この塩はなーんだ。きちょうめんに20㌘量ったのは何のため?
手がかりを求めて冷蔵庫をのぞき、献立を振り返り、家計簿まで開いてみる。分からない。
南の窓から私のお勝手仕事を鼓舞してくれるヒメシャラの木立を仰ぐ。知らないかい?
目を閉じ、そして浮かんだのは故郷からのスイートコーン。「ゆでる時はね、塩、少々」の助言があった。きっとそれ。あの日から数日が過ぎている。「ふふっ、忘れんぼさん」と故郷の誰かの声がしたような。
宮崎県延岡市 柳田慧子(75) 2020/10/10 毎日新聞鹿児島版掲載
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