青い新芽を見つけた時、それは思いがけない発見だった。9月に入っても夏の暑さは収まらず、鉢から抜かれ日差しにさらされ、水なしの体でごみ袋へ行く宿命だった。待てよ、と少し惜しくなった。ピンクの高貴な球根リコリス。葉が枯れた後にスーッと直立に四方に咲く。その生命力に驚いた。
美しい花が咲く。今季の冬の寒さ、雨に耐え、来年はどのような花の物語をつづれるかと楽しみができた。考えるのは植物のことばかり。園芸の本は何度開いても飽きない。花は生きがい。気持ちを静め、癒してくれる。
鹿児島県鹿屋市 春野フキ子(72) 2021.12.18 毎日新聞鹿児島版掲載
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