はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

譲り合い

2006-05-19 06:33:09 | はがき随筆
 「お母さん、今日は剣道で遅くなります」と高2の長男。
 私は力の付く物と卵1個を汁わんに入れてやった。そのころ、主人はキンジス病気で床の中であった。卵1個は貴重であった。
 後で私の汁わんに卵があった。二男も三男も兄の様子を見て、お母さんのわんに入れて行ったとのことだった。父は子に長男は弟に、互いに譲り合う人生であった。
 優しい長男は、学校でもいろいろと思い出を残して天国へ行った。あの時代が脳裏から離れない。まずしくても幸せだった。
   さつま町 浅山清子(84) 2006/5/19 掲載

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