店先に並べられている不ぞろいの拳大のジャガイモが、目にとまった。手に取ると土の香りが残っていた。
戦時中に農家への奉仕作業をした時の事が浮かんだ。食糧難時代で、十分に食べることがままならず、作業の後に出された、ふかしたジャガイモの素朴な味は忘れない。
当時は、自給自足しかなかった。母は狭い庭で野菜作りに懸命だった。その上、母の衣類は全て、お米と野菜に交換していた記憶がある。工夫して作ってくれた肉なしの肉じゃが風。ほのかな土の香りに、おふくろの味が懐かしい。
宮崎県延岡市 島田葉子(86) 2019/8/26 毎日新聞鹿児島版掲載
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