ゼラニウム、松葉ボタン、ベゴニアが色鮮やかに咲き誇ったのもつかの間、長雨に打たれ元気がない。花といえば、母も大の花好き。米のとぎ汁は捨てずに水やりに使っていた。そのかいあってか、花の絶えることはなかった。その頃、足の不自由な母を気遣い、節水も程々にと思っていた。それが、いつしか自分も母と同じことをしていた。笑うしかない。丹精込めて育てた花は期待に応えてくれる。庭の片隅にひっそりとたたずむ青色のアジサイ。葉は水をはじき、時折吹く涼風に花は優しく揺れ、なぜか遠くの施設の母と重なり思いを馳せたのだった。
鹿屋市 中鶴裕子(68) 2018/8/2 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます