数年前、知人の畑の傍で四葉のクローバーを摘ませてもらったことがあった。誰でもすぐに幾つも見つけられるほど、そこには四葉が多かった。
すると特殊能力を得たのか、その年は挟んだ手帳のページがいっぱいになるくらい、四葉を見つけられるようになった。四葉の姿が目に飛び込んできた。
自粛生活の中、近所を散歩していて人気のない公園に立ち寄った。姿勢を低くして叢に目を落とす。見えるのは三葉ばかりだ。あの年以来、四葉は見つからない。最初に一本見つけたら。もう一度あの奇跡の目が甦るような気がしているのだが。
熊本市中央区 岩木康子(54) 2020/5/30 毎日新聞鹿児島版掲載
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