昨年は自粛を余儀なくされた観桜の旅。今年は思い出の桜を妻に見せてやろうと上京した。場所は上野公園。平日の昼間というのに人並みの多さに驚く。巨木の桜は今を盛りと咲き誇り、花天井の下、ブルーシートがびっしりと敷かれ、既に宴の席もある。赤い顔が大声で歌い喚声を聞くと僕たちも笑顔になる。
風に舞うほこりなど意に介さぬ露天商は声張り上げて客を呼ぶ。寒かった冬が去り、暖かさを呼ぶ桜に酔って歩く。お花見の極意だと思う。しかし、すぐ下を走る鉄路の先には、まだ春遠いがれきの山。復興を桜に祈りたい。
志布志市 若宮庸成 2012/4/22 毎日新聞鹿児島版掲載
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