はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

時間が薬

2006-10-09 07:53:53 | はがき随筆
 「おーい、おーい」。玄関で夫の声。大きなリュックを背負った山の帰りらしい夫が何か怒鳴ってる。「あらごめんなさい」と謝っても「もういいっ」と言うなりくるりと踵を返し何処かへ行ってしまった。「お父さーん」。大きな自分の声で眼が覚めた。嫌な夢……。一昔前の私だったら、この夢でどんなに落ち込んだことだろう。マッターホルンを背に今日もほほ笑む彼に「なんで夢に出てきてまで怒鳴るのよ!」と笑ってしまった今の私。涙の日を過ごしていた私に「時間が薬よ」と慰めてくれた多くの友へ。「ようやくお薬が効きました」。
   鹿屋市 西尾フミ子(72) 2006/10/9 掲載 特集版-4

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2 コメント

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よかったねーー。 (八木谷 スミ子)
2006-10-22 22:08:58
こういう日がやってきて 本当に良かったと思います。どれだけの涙を流されたか体験者でない者には解りませんが、私の母が体験した者でないと、この気持ちは解らないと何時もいっていましたので、やさしい言葉もかけることもなく、見守ることしか出来ませんでした。西尾兄のことは短い間でしたが、心にしっかり残っています。

何時もよくやってるよと褒めて下さっていると思います。

お互いに何時かは行く道、寝込んだ時に悔いのないように致しましょうね。
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コメントありがとう (フミ子)
2006-10-22 23:42:33
あなたにはどんなに励まされたことか、心から感謝しています。

祈り支えてくださった日々を

克己も「スミ子さんありがとう」と言ってます。

でも、夢の中では優しい夫であってほしい…。
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