高科正信先生の文章たっぷりコース、第3期目の授業が始まりました。
まずは、自己紹介を兼ねて、どうしてこのコースを受けようと思ったかを順に話していきました。
仕事に役立てようと思った方、絵本の勉強に役立つと考えた方、ここしばらくのおうち時間に見たこと・考えたことなどを文章にしたいと思った方など
それぞれがいろんな思いでここに来られたことがわかりました。
高科先生は、いろんな気持ちや感情を持って来られた人に、できるだけ対応できるようにしたいと言ってくださいました。
全16回の授業で、気持ちの伝わる文章を書くにはどうしたらいいか、先生の考えていることを伝えていきたいとおっしゃいます。
そして授業はいつもの “よもやま話” から始まりました。
最近NHKで見た「ジェンダーサイエンス」についての番組がおもしろかったそうです。
その中で、ドミニカ共和国のある地域では人体生理学的に50人に1人の割合で別の性に移行する事例があることを紹介されていたそうです。
世界中がジェンダーレスの方向に目配りをするようになったが、番組では科学的・生理学的にはどうなのかということを紹介していて興味深かったとのこと。
見逃し配信もあるようなので、興味のある方は見てみてください。
その後「書くことについて」考えさせられる文章を読んでいきました。
最初は北代色さんの「手紙─夕やけがうつくしい」という文章です。
北代さんは家が貧しくて学校に行けなかったので、字の読み書きができないまま暮らしていました。
けれども識字教室に通って字の読み書きができるようになって、初めて夕焼けが美しいと思えるようになったと書いてありました。
日本では99%の人が字の読み書きができますが、世界の人口の10%は読み書きができないのが現状です。
北代さんは、「夕焼け」という言葉を知って初めてその美しさに気づき
数字が読めるようになって、買い物をするのも楽しくなったと言います。
この文章を「10年長生きしたい」と言って結んだ北代さんは、実際にその後10年生きて亡くなったそうです。
次は『現代の文章』(筑摩書房)より、プロレスラーの力道山の書いた手紙です。
漢字はたくさん使っているものの、「、」や「。」がほどんとなく、どこで切ったら良いのか分からないのですが、
書いている内容は近況報告と厚意に対する感謝であるということは十分理解できます。
最後は同じ本から、1964年東京オリンピックのマラソンで銅メダルを取り
その後の活躍に期待をかけられたプレッシャーで自死した円谷幸吉選手の遺書でした。
家族や親戚に対し、ていねいに感謝の意を伝えた後、
「疲れ切ってしまってもう走れません」「父母上様の側で暮らしとうございました」と書いてあります。
以上3点ともそれぞれに “書き手の思いが伝わる” 文章でした。
そして、長田弘の『心の中にもっている問題』(晶文社)から、「ライ麦の話」という詩と
茨木のり子の「自分の感受性くらい」という詩(『自分の感受性くらい自分で守ればかものよ』(小学館))を紹介してくださいました。
お二人とも高科先生が大好きな詩人ですが、紹介してくださった2篇は先生が特に気に入っている作品で
読むたびに心が引き締まるので、怠け心が出てきたら思い出すことにしているそうです。
他にも、『孫の心をわしづかみにするお話』(PHP研究所)に収められている
先生のお友達でもある児童文学作家の岡田淳さんの「となりの家の小学生は」「ブニルが、シミリに、むにむにした話」
を紹介してくださいました。こちらはユーモラスな作品で、先ほどまでシリアスな話が続いていた場がさっと和みました。
それから、今期のテキスト『日本語の<書き>方』(森本卓郎著・岩波ジュニア新書)を皆でかわるがわる音読していきました。
音読するときは、「、」で少し間を空け、「。」でもう少し長く間を空けることに留意します。
書き手はどこに「、」「。」を入れるか熟考して書いているので、それに敬意を表しましょうとのことでした。
この日は「はじめに─文章、このやっかいで楽しいもの」と、
第 Ⅰ 部の基礎編から、1章 まずは「文字」から を読みました。内容は今の通りです。
1.文字というもの ①「書く」ときに必要なもの? ②漢字を使って書くと何通り?
2.漢字を使いこなす ①音読みの言葉をどう書くか ②「障がい」という書き方を見るけれど ③訓読みする言葉にどんな感じを使うか
④漢字の使い分けで誤解を防ぐ ⑤表意文字としての漢字 ⑥漢字を書くときの注意
日本語を書くには、漢字・平仮名・カタカナ・ローマ字などさまざまな文字を使うので
日本語ネイティブでない方が日本語を学ぶのはたいへん難しいといいます。
特に漢字はまず知っていないと書けません。
同音異義語もたくさんあり、平仮名で「とる」と書いたら通じることでも
漢字には一つ一つ意味があるので、どれを使ったら良いか分からないときは
辞書を引いて、自分の思っている意味の漢字を使いましょう。
「幸せ」「しあわせ」「シアワセ」など、敢えて書き分けて意味を持たせることもできます。
この授業では書き方を学習していくわけですが、今日紹介していただいた文章に目を向けると
文章というものは上手に書けば良いかというと、そうではなく
たとえ言葉が間違っていても “思い” がしっかり伝わるのだということが分かります。
毎回さまざまなテーマの課題が出て、次の授業の時に提出するということを繰り返し、
全部で15回先生とのやり取りを続けるうちに、だんだんと文章を書くスキルを上げていきましょう。
前期の生徒さんたちは、課題の中から自分の自信作を提出して文集を作ったりもしています。
課題を書くにあたって、原稿用紙の使い方を再確認。
縦書きの原稿用紙は、1枚20字×20行の400字詰めになっています。
①題名は2行目の3マス下げて4コマ目から書き始めます
②作者名は4行目の下の方に書きます
③本文の書き出しは6行目から。1マス下げて書き始めますが、「」()で始まるときは一番上のマスから書きます。
④マス目の上に ………… と線があるのはページ数を書く場所で、右側にだけ数字を入れます。
以上を踏まえて、今回の課題は「アイについて」をテーマに
上記の①〜④を守り、原稿用紙4枚目の5行目まで(本文1200字)で書いてください。
どんな「アイ(愛・藍・I etc.)」について書いても良いし、ジャンルは創作でもエッセイでもなんでも構いません。
手書きの場合は読みやすい濃さ(なるべく鉛筆は使わない)で書き、パソコンを使う場合は原稿用紙の形式でプリントアウトしてください。
再来週20日の授業の際に提出できるよう、頑張ってください。
とにかくいろんなことについて書けるようになった方が良いと思うので、
この先いろんな本や映画を見たり読んだりして、興味や感情を広げ、いろんなことを書いていきましょう!
これからよろしくお願いします。
まずは、自己紹介を兼ねて、どうしてこのコースを受けようと思ったかを順に話していきました。
仕事に役立てようと思った方、絵本の勉強に役立つと考えた方、ここしばらくのおうち時間に見たこと・考えたことなどを文章にしたいと思った方など
それぞれがいろんな思いでここに来られたことがわかりました。
高科先生は、いろんな気持ちや感情を持って来られた人に、できるだけ対応できるようにしたいと言ってくださいました。
全16回の授業で、気持ちの伝わる文章を書くにはどうしたらいいか、先生の考えていることを伝えていきたいとおっしゃいます。
そして授業はいつもの “よもやま話” から始まりました。
最近NHKで見た「ジェンダーサイエンス」についての番組がおもしろかったそうです。
その中で、ドミニカ共和国のある地域では人体生理学的に50人に1人の割合で別の性に移行する事例があることを紹介されていたそうです。
世界中がジェンダーレスの方向に目配りをするようになったが、番組では科学的・生理学的にはどうなのかということを紹介していて興味深かったとのこと。
見逃し配信もあるようなので、興味のある方は見てみてください。
その後「書くことについて」考えさせられる文章を読んでいきました。
最初は北代色さんの「手紙─夕やけがうつくしい」という文章です。
北代さんは家が貧しくて学校に行けなかったので、字の読み書きができないまま暮らしていました。
けれども識字教室に通って字の読み書きができるようになって、初めて夕焼けが美しいと思えるようになったと書いてありました。
日本では99%の人が字の読み書きができますが、世界の人口の10%は読み書きができないのが現状です。
北代さんは、「夕焼け」という言葉を知って初めてその美しさに気づき
数字が読めるようになって、買い物をするのも楽しくなったと言います。
この文章を「10年長生きしたい」と言って結んだ北代さんは、実際にその後10年生きて亡くなったそうです。
次は『現代の文章』(筑摩書房)より、プロレスラーの力道山の書いた手紙です。
漢字はたくさん使っているものの、「、」や「。」がほどんとなく、どこで切ったら良いのか分からないのですが、
書いている内容は近況報告と厚意に対する感謝であるということは十分理解できます。
最後は同じ本から、1964年東京オリンピックのマラソンで銅メダルを取り
その後の活躍に期待をかけられたプレッシャーで自死した円谷幸吉選手の遺書でした。
家族や親戚に対し、ていねいに感謝の意を伝えた後、
「疲れ切ってしまってもう走れません」「父母上様の側で暮らしとうございました」と書いてあります。
以上3点ともそれぞれに “書き手の思いが伝わる” 文章でした。
そして、長田弘の『心の中にもっている問題』(晶文社)から、「ライ麦の話」という詩と
茨木のり子の「自分の感受性くらい」という詩(『自分の感受性くらい自分で守ればかものよ』(小学館))を紹介してくださいました。
お二人とも高科先生が大好きな詩人ですが、紹介してくださった2篇は先生が特に気に入っている作品で
読むたびに心が引き締まるので、怠け心が出てきたら思い出すことにしているそうです。
他にも、『孫の心をわしづかみにするお話』(PHP研究所)に収められている
先生のお友達でもある児童文学作家の岡田淳さんの「となりの家の小学生は」「ブニルが、シミリに、むにむにした話」
を紹介してくださいました。こちらはユーモラスな作品で、先ほどまでシリアスな話が続いていた場がさっと和みました。
それから、今期のテキスト『日本語の<書き>方』(森本卓郎著・岩波ジュニア新書)を皆でかわるがわる音読していきました。
音読するときは、「、」で少し間を空け、「。」でもう少し長く間を空けることに留意します。
書き手はどこに「、」「。」を入れるか熟考して書いているので、それに敬意を表しましょうとのことでした。
この日は「はじめに─文章、このやっかいで楽しいもの」と、
第 Ⅰ 部の基礎編から、1章 まずは「文字」から を読みました。内容は今の通りです。
1.文字というもの ①「書く」ときに必要なもの? ②漢字を使って書くと何通り?
2.漢字を使いこなす ①音読みの言葉をどう書くか ②「障がい」という書き方を見るけれど ③訓読みする言葉にどんな感じを使うか
④漢字の使い分けで誤解を防ぐ ⑤表意文字としての漢字 ⑥漢字を書くときの注意
日本語を書くには、漢字・平仮名・カタカナ・ローマ字などさまざまな文字を使うので
日本語ネイティブでない方が日本語を学ぶのはたいへん難しいといいます。
特に漢字はまず知っていないと書けません。
同音異義語もたくさんあり、平仮名で「とる」と書いたら通じることでも
漢字には一つ一つ意味があるので、どれを使ったら良いか分からないときは
辞書を引いて、自分の思っている意味の漢字を使いましょう。
「幸せ」「しあわせ」「シアワセ」など、敢えて書き分けて意味を持たせることもできます。
この授業では書き方を学習していくわけですが、今日紹介していただいた文章に目を向けると
文章というものは上手に書けば良いかというと、そうではなく
たとえ言葉が間違っていても “思い” がしっかり伝わるのだということが分かります。
毎回さまざまなテーマの課題が出て、次の授業の時に提出するということを繰り返し、
全部で15回先生とのやり取りを続けるうちに、だんだんと文章を書くスキルを上げていきましょう。
前期の生徒さんたちは、課題の中から自分の自信作を提出して文集を作ったりもしています。
課題を書くにあたって、原稿用紙の使い方を再確認。
縦書きの原稿用紙は、1枚20字×20行の400字詰めになっています。
①題名は2行目の3マス下げて4コマ目から書き始めます
②作者名は4行目の下の方に書きます
③本文の書き出しは6行目から。1マス下げて書き始めますが、「」()で始まるときは一番上のマスから書きます。
④マス目の上に ………… と線があるのはページ数を書く場所で、右側にだけ数字を入れます。
以上を踏まえて、今回の課題は「アイについて」をテーマに
上記の①〜④を守り、原稿用紙4枚目の5行目まで(本文1200字)で書いてください。
どんな「アイ(愛・藍・I etc.)」について書いても良いし、ジャンルは創作でもエッセイでもなんでも構いません。
手書きの場合は読みやすい濃さ(なるべく鉛筆は使わない)で書き、パソコンを使う場合は原稿用紙の形式でプリントアウトしてください。
再来週20日の授業の際に提出できるよう、頑張ってください。
とにかくいろんなことについて書けるようになった方が良いと思うので、
この先いろんな本や映画を見たり読んだりして、興味や感情を広げ、いろんなことを書いていきましょう!
これからよろしくお願いします。